『田園の詩』NO.85 「七夕まつり」 (1998.7.28)


 7月7日、「今日は≪七夕≫か…」と思いつつカレンダーを見たら≪小暑≫でもあり
ました。当地では6月末より気温が30度を超す真夏日が続いており、今月になっても
日中は連日うだるような暑さです。≪小暑≫どころではありません。

 それでも夜になると空気は一変し、涼しい風が何処からともなく吹いてきます。山里
ならではの恵みに感謝しながら、ウチワ片手に外に出て天空を仰ぎ星を探します。

 天文少年だった私も、長い都会生活の間にすっかり忘れてしまったので、せめて
子供達に説明できるくらいの知識を取り戻さなければと、今また密かに勉強中です。

 今日も快晴なので、今夜は天の川の両岸にある牽牛星と織女星を探そうと、子供の
使っている星座盤を取り出して確認していて、昨夜、月が輝いていたのを思い出しま
した。今夜は月齢13日くらい、さらに輝きを増すでしょう。これでは月の明るさに
邪魔されて星の観察には適しません。

 牽牛・織女の二星が最適に観察できるのは、旧暦の7月7日だったのだと、この歳
になってやっと気が付きました。戦後生まれの私達は、陽暦の7月7日に笹飾りを
作ったりして≪七夕まつり≫をしていましたが、実は旧暦でするのが本来の姿だった
ようです。


     
    ハチク(淡竹)の筍。 モウソウ(孟宗)竹の筍と甲乙つけがたいくらい、
    美味しいです。七夕の笹飾りにはマダケ(真竹)や、このハチクが成長して新葉を
    つけたものを使います。    (09.5.23写)



 確認のために歳時記を取り出してみたら、「現今では、陽暦の7月7日に行う所も
あり、1月遅れに行う所もあり、また陰暦を守っている所もあり、一定していない」
と書いていました。

 ところで、私は、歳時記で調べる際に、『夏』の巻を取り出して≪七夕≫の項を探し
たのですが、どこにもありません。

 おかしいなと思い、『秋』の巻を見たらそこにありました。今年の旧暦7月7日は
陽暦の8月28日に当たります。この日なら『立秋』も過ぎているので、秋の季語で
いい訳です。

 私は今年から、≪七夕まつり≫は旧暦でしようと決めました。牽牛・織女の二星が
天の川を挟んでキラキラ輝くのが見られるよう、8月28日が晴れてほしいと今から
願っています。                  (住職・筆工)

                   【田園の詩NO.】 【トップページ】